私たちの生活様式や価値観に変化をもたらしたコロナ禍。各国の感染状況が嫌でも目に入ってくるような状況の中で、健康やライフスタイルに対する意識が高まった方も多いのではないでしょうか。そんな今、日本以外の国の健康や運動に関する捉え方について、興味関心を持ち始めた方も多いようです。
そこで今回は、ドイツのケルン体育大学でスポーツビジネスを学ぶ阿部尚輝さんに“大学生活のアレコレ”について教えてもらいました。阿部さんの口から飛び出すキャンパスライフの実態には、筆者も驚きの声を連発。あなたの学生生活と比較することで、新たな発見があるかもしれません。
前回の“ドイツの健康事情”についてのインタビュー記事もあわせてご覧ください!
【前回のインタビュー記事はこちら】世界的に“肥満”が増加傾向?参考にしたい「リアルな海外の健康事情」
ケルン体育大学について

――まず初めに、「ケルン体育大学」はどんな大学なのかについて教えてください。
ドイツ西部に位置する都市・ケルンにある、ドイツ唯一のスポーツ専門大学です。単科大学ではありますが、学生数は6,000人を超え、スポーツ医学からスポーツ心理学、またスポーツマネージメント、コーチングなどスポーツ科学分野において幅広く研究が行われています。研究所の数や代表的な専門分野、学生数でいうとスポーツ大学では世界最大規模の大学です。
そういった背景もあって、欧州だけでなく、世界中から学生が集まってくる国際的な学校なんですよ。
単位は学士から博士まで取得可能で、教職専門のコースもあります。キャンパスはドイツプロサッカーリーグ『ブンデスリーガ』1部所属球団であるFCケルンのホームスタジアム『ラインエネルギースタジアム』に隣接していて、ドイツ代表専属の分析サポートなども行っています。
敷地内にはスタジアムだけでなく、様々なスポーツ施設があるんです。
専用プールや屋内・屋外の陸上施設

器械体操専用の体育館

体育館だけで言えば、大小合わせて10以上あります。スポーツを学ぶには最高の環境と言えるでしょう。
――圧倒的な施設ですね! ますますキャンパスライフが気になってきました。そんなケルン大学には、具体的にどんな学生が通われているんでしょうか?
ケルン体育大学に入学する為には、勉学の試験の他にドイツ語で「Eignungstest」と呼ばれるスポーツテストにも合格する必要があります。これは陸上・ラケットスポーツ・球技・器械体操・水泳の計20種目のうち19種目以上で基準を超える必要があり、合格率が50%を下回るドイツでも最難関の実技テストです。
入学する生徒は一部を除き、皆このテストに合格しているので運動能力が高く、かつ勉学にも熱心な文武両道な学生が多いです。
また、ほとんどの学生が現役選手として何かしらのスポーツクラブに所属しています。実技の授業では、どれもレベルの高いプレーが行われていてとても刺激的です。

ドイツではサッカーが最も人気のある国なので、サッカー関連の学生が多いのも特徴です。これは私の個人的な憶測ですが、全体の4〜5割の学生はサッカーに関わっている人であるように感じます。
日本から学びに来る学生もいて、そのほとんどがサッカーに関わっています。現役選手としてプレーしながら学び、将来的には指導者を目指している学生が多いです。
さらにもう一つこの大学の大きな特徴として、キャンパス内にいる学生のほとんどはジャージ姿という点です。私服だと逆に目立ち、偉い人だと勘違いされるというジョークがあるほどなんですよ(笑)。
――いわゆるエリート大学なんですね! 学生のほとんどがジャージ姿で、私服の日はクラスメイトに突っ込まれるというのは日本の体育系大学生も共感が深いのではないのでしょうか(笑)!?
日本の大学との違い

――阿部さんは、日本とドイツ双方の大学を経験されています。その経験から、大きく異なる点や興味深い点などはありますか?
大きな違いといえば、やはり学費が無料という点ですね! 僕がドイツで学ぼうと思った大きな理由の一つでもあります。
ドイツの大学の大半は国公立大学であり、基本的には学費はかかりません。ただ1セメスター(半期)ごとに、およそ3万円支払う必要があります。これは「セメスターチケット」と言われる大学生専用の公共交通機関の定期券であり、大学が所属する州の公共交通機関が乗り放題というすごいチケットです!(特急や新幹線などは別途かかります)例えば、日本でいうと東京の大学に在籍している場合は東京都内の電車・バスは乗り放題という感じです!
そのため、ドイツの大学生は生活費さえ賄うことができれば、暮らすことができます。ドイツの大学生はとても優遇されているんです!
一方、日々勉強をし続けないと授業を理解することは難しく、退学も少なくありません。ケルン体育大学の場合、同じ科目を3回以上落とすと自動退学になるといった具合です。「大学生は優遇するけど、その分勉強してね」という国からのメッセージと捉えることができますね!
そもそもドイツの教育システムは日本と大きく異なるため、大学に入学する難易度は日本より遥かに高くなります。つまり、ある程度選ばれた人間であるわけです。
日本では比較的幅広く、高い教育水準を受けることができますが、ドイツではある程度の水準を満たした者のみ高い水準を受けることができるという形になっています。どちらが正しいとかではなく、そこが日本と大きく異なる点であると思いますね。
また、入学する年齢もバラバラ。高校を卒業してすぐ入学する学生もいれば、20代前半で入学する学生もいたりと日本より幅広いです。大学院まで行くと30代40代の人もいますが、学部ですとやはり20代がメインで30代以降はそんなに多くありません。
――学費が無料というのは驚きです。そして無料だからといって勉強を怠るわけではなく、むしろ勉学に真摯に励むシステムが確立されているのは、日本の大学も見習うべき側面がありそうだなと感じました! ちなみに授業はすべてドイツ語で行われるのでしょうか?
学部の講義は、基本的に全てドイツ語です。大学院に関しては、全て英語の専攻もあれば全てドイツ語の専攻もあります。ドイツ人でない場合は、入学を希望する専攻で使われる言語能力の証明をしないといけません。英語もドイツ語も必要なレベルはかなり高い為、ここで挫折してしまう人も多いです。
また、学部でも授業によっては英語の授業もあると聞きます。大学レベルになるとドイツ人は基本的に英語も問題なく使えますし、専門用語でも英語が出てきますので、英語ができるに越したことはありませんね。

授業形態は、聴講だけの講義形式だけでなく、少人数で行うセミナーと呼ばれる授業もあります。学生同士で課題に取り組んだり、コミュニケーションを取ったりする機会も多いです。
――授業が全部ドイツ語なんですね! 日本語でも難しい専門分野もあるかと思いますが、それをドイツ語で理解して学習するというのは本当に「すごい」の一言です。なかなかハードルが高いかと思うのですが、これからドイツ留学や移住を考えている方へメッセージをお願いします!
ドイツは何かを学ぶ環境としては最高だと思います。もし明確にこの国でやりたいことがあるのであれば、ドイツに来ることを強くおすすめします。
もちろん楽しいことばかりではありません。ですが、自分の目標に向かって頑張る日々は、何事にも変え難い素晴らしい充実感があります! ドイツに興味がある人は、まずは一度ドイツに来てみてください!
――力強いメッセージをありがとうございます! お話を聞いて、ドイツに行きたい欲が増してきました。
以上、ドイツ在住8年目。ケルン体育大学でスポーツビジネスを学ぶ、阿部尚輝さんへのインタビューでした!
関連記事:人が浮く死海に“ダンベル”は浮くのか!? ジムトレーナーが実験してみた結果…
ドイツでの学生生活は刺激に満ちていて、学びの機会も多いようです。健康や学問の面以外でも、食や自然、芸術など魅力的な文化が垣間見られるドイツ。みなさんもぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?(文・取材/前川哲成、取材協力/阿部尚輝)
<プロフィール>
阿部尚輝さん
画像:本野和之 新潟県出身。京都市内の大学を卒業後、長岡京市の小学校で2年間の教員生活を経てドイツへと渡る。
教育関連や物流関連の企業で正社員として働きながら、ドイツ野球「ブンデスリーガ」で選手として計5年間プレー。ドイツでの野球選手経験を通して、スポーツマネージメントの領域に興味を持ちスポーツビジネスを学ぶことを決意。2022年4月に念願のケルン体育大学に入学しスポーツマネジメントを専攻に学びを深めている。ドイツ在住歴は8年目に突入。【Twitter】 @NaokiAbe_Europe
【画像・参考】
※阿部尚輝/本野和之
\ 自分を信じて”理想のカラダへ” / ![]()
~ 【部位】で選ぶ ~
#全身 #上半身 #下半身 #二の腕 #お腹 #背中 #お尻 #胸 #腰 #肩 #手首 #足首 #腕 #腹 #腹筋 #くびれ
~ 【目的】で選ぶ ~
#ボディメイク #シェイプアップ #ダイエット #筋トレ #パフォーマンス向上 #美ボディ #テレワーク疲れ #肩こり #腰痛 #快眠