COLUMN

コロナ禍での“ジム通い”って避けた方がいい?専門家に聞いてみた【前編】

新型コロナウイルスに関する情報が、様々なメディアで飛び交う昨今。心身ともにストレスを感じやすいコロナ禍だからこそ、定期的な運動を継続することの重要性やニーズが高まっているようにも思います。

感染防止対策を踏まえた形でのフィットネスクラブの利用方法について、新型コロナ対策プロジェクト会議アドバイザーを務める堀成美先生にお話しをうかがいました。

堀先生はフィットネスクラブの利用経験が長く、特に二の腕や背中を引き締めるトレーニングが大好きだとか。ご自身が運動をしてきたからこそ伝えることの出来るアドバイスを、前後編に分けて紹介します。

後編はこちら

フィットネスクラブは感染リスクが高いイメージ…実際のところは?

画像:東急スポーツオアシス

――フィットネスクラブ等、人が集まる場所に足を運ぶことを避ける動きが継続していると思いますが、それらは他の屋内施設と比較して感染リスクが高い場所なのでしょうか?

フィットネスクラブ=感染リスクが高い場所とは思っていません。そういったことを懸念している方の中には、スポーツクラブを利用していた方から数人感染者が出たという報道が印象に残っているのでしょう。

感染者が出てしまったのは、スポーツクラブだから、運動をしていたからではなかったんです。例えば、千葉県内のスポーツクラブで集団感染が発生したことがありました。千葉日報の報道では、利用者がマスクを着用していない状況で過ごしていたことや、利用者同士の間隔をあけることが不十分だったなど、一般的な感染対策が徹底されていなかったことを指摘しています(※1)

――場所が問題ではなく、感染対策を行っていなかったことが問題だったんですね。

はい。マスクをしていない状態でおしゃべりをするという行動そのものが、感染リスクを高めていたということですね。フィットネスクラブで運動しているときも、色々な人――

例えば、インストラクターとお話しをすることもあると思います。東京大学医科学研究所の調査結果によると、お互いにマスクをつけていれば飛沫感染のリスクが軽減されると言われています(※2)。

ロッカーエリアを使う際に気を付けたいこと

画像:東急スポーツオアシス

――フィットネスクラブの主要エリアそれぞれにおける、感染リスクを軽減させる行動について教えてください。

マスクをつけていれば飛沫感染のリスクが軽減されると言われているため、ロッカーエリアでもできるだけ会話をしないようにするのがいいでしょう。会話をするなら、マスクをつける。マスクをつけていないときは、会話をしないというルールを、皆さんで守れたらいいと思います。

――多くのフィットネスクラブでは、ロッカー同士の間隔をあけ、人と人との距離を保つために一部のロッカーを使用できなくしていると思います。そのアクションは、感染リスクを軽減するという観点で効果的なのでしょうか?

ロッカーの間隔をあけることは、それほど重要ではありません。それから、使用済みのロッカーを一回一回アルコールで拭くということも必要ありませんね。

それで大丈夫なのか?と思ったときは、こう考えてください。「ロッカーやハンガーを直接舐めることはあるか」と。それらを触っただけでは、新型コロナウイルスに感染する可能性は低いので、気になったときは手指を綺麗にすることを優先してください。

マシンジムエリアで運動をするときに気を付けたいこと

画像:東急スポーツオアシス

――運動をしているときに、私たちが注意すべきことはなんでしょうか?

運動をしているときは、基本的に会話をしていないと思います。マスクを付けて運動をすることがルールとなっている施設では、そもそも飛沫が飛ばないわけです。むしろ、マスクをつけて、今まで通り使っていただいていいと思います。

ただ、心拍数が上がって息が上がるマシンもありますよね。

――ランニングマシン等と呼ばれるような、有酸素運動を目的としたマシンですね。

それらを利用する際は、隣との距離をとったり、パーテーションを設置したりなどの対策が施設運営側に求められます。フィットネスクラブ業界のガイダンスに従って欲しいですね。

その後は、ご自身の手指を綺麗にすることを忘れないようにしてください。マシンを直接舐めることはありませんが、手指が口に触れることは比較的多いですからね。

今回教わったポイントとしては、「会話を控えること」「手指をキレイにすること」の2点。それらは他の場所での感染症対策と同様なので、「ジムは危険……」という印象も変わったのではないでしょうか?

感染症対策を意識した行動さえ行えば、これまでと同様にフィットネスジムを利用していいということですね!

後半では、その他のエリアで気を付けたい行動や、フィットネスクラブを愛する方に対する先生からのメッセージを紹介します!(取材・文/はぎわらひかる)

<プロフィール>

画像:東急スポーツオアシス

堀成美(ほりなるみ)

感染症対策コンサルタント
神奈川大学法学部、東京女子医科大学看護短期大学卒業
民間病院、公立病院の感染症科勤務を経て、
2007-2009年国立感染症研究所実地疫学専門家コース(FETP9期)修了
2009-2012年聖路加国際大学・助教(看護教育学/感染症看護)
2013年より国立国際医療研究センター国際感染症センターに勤務(感染症対策専門職)
2015年4月より同国際診療部 医療コーディネーター併任
2018年7月 より 国立国際医療研究センター 特任研究員、2020年8月より国際診療部 客員研究員
【SNS】Twitter:@narumita

【画像・参考】
※東急スポーツオアシス
※Dragana Gordic/Shutterstock
※1  【新型コロナ】千葉市のスポーツジムクラスター 検温未実施、3密対策不十分か 客と従業員計11人感染
「今日からできる! 暮らしの感染対策バイブル」監修:堀成美
※2 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省
東京大学医科学研究所のデータを基に内閣官房が作成した「マスクの効果」

※本サイトにおける医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。